『 自己否定 』
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 空っぽな身の内に無色透明な役目を注がれて、彼は今日も道端に佇立する。
夏の強い日差しに晒されながら、一体どれだけの時が過ぎただろう。
気持ちよく汗を流していた頃など、遠い夢のようだ。
「なあ兄弟。 もう一度使命を持って生きたいとは思わないか?」
彼の声に、通りの反対側に打ち捨てられた同胞は、曲がらない首で頷いた。
「同感だよ、兄弟」
 人間が道を誤る事さえなければ、彼らは細大漏らさず、生まれ変わることが出来たのだ。
それは円環を形どる大いなる流れ。 リサイクルという名前の輪廻である。
 今日も涼しい顔をして目の前を通りすぎる野良ネコに、彼は訴える。
「お前からも、人間に言ってやってくれ、『水ペットボトルなんて怖くねーよ』ってさ」



2011.12.11 Re.update

 


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